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良心と信仰で葛藤=「遺族の涙に言葉ない」―土谷死刑囚

2018-07-06 16:29

豊富な化学の知識を駆使し、教団による猛毒の神経剤VXやサリン製造で、中心的な役割を果たした土谷正実死刑囚(53)。事件後は、良心の呵責(かしゃく)と元代表松本智津夫死刑囚(63)への信仰心の間に揺れる心境を見せていた。
東京都出身で、高校生の時に化学に対する興味を強く抱き、筑波大に進学。同大学院化学研究科で有機化合物を研究していた1989年に入信し、約2年後に出家した。
95年11月の一審の初公判で「尊師の直弟子」と明言し、事件については長い間黙秘を続けた。その後の法廷で被害者の証言を聞き、「苦しめてしまった」と責任を認めたが、「松本、地下鉄サリンはオウムの犯行ではない」と持論を展開。謝罪の言葉を口にしないまま死刑判決を受けた。控訴審では弁護人の接見に応じず、一度も法廷に姿を見せなかった。2011年3月死刑が確定した。
最高裁判決前の取材では、松本死刑囚に対し「帰依心はまったくない」と明かし、「詐病をやめて、事件のことを話すべきだ」と非難。事件の被害者に対しては「公判で涙を流している遺族を見たとき、何も言葉がなかった。すみませんでしたとしか言えないが、それだけでは軽過ぎる」と振り返っていた。
14年に行われた元信者の裁判員裁判で証人採用されたが、精神状態を考慮し、尋問は東京拘置所で非公開で行われた。そのころ知人に出した手紙では、松本死刑囚について「一日も早く死刑になれ」と記していた。
[時事通信社]

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