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「歴史の遺産」捨てないで=旧家で水没、文書「救出」―西日本豪雨・岡山

2018-08-02 06:34

西日本豪雨で浸水した岡山県内の民家などから、地域の歴史を伝える文書などの資料を「救出」する動きが出ている。ボランティアが作業中に見つけることもあり、専門家は「復興のためにも歴史の遺産が必要。簡単に捨てないでほしい」と呼び掛けている。
明治42(1909)年の英語教科書に、大正5(1916)年の「醤油(しょうゆ)製造帳」。広げた新聞紙の上に、水をかぶって傷んだ古い文書が並ぶ。大半は明治から戦前にかけてのもので、家主とみられる人物の日記や手紙もあった。
岡山市内の浸水した家屋で、ボランティア活動をしていた吉岡佐都さん(28)らが偶然見つけた。しょうゆを醸造していた旧家の蔵。回収し、被災した歴史資料の保全に取り組む「岡山史料ネット」に持ち込んだ。
市教育委員会の職員で、学芸員の資格を持つ吉岡さんが史料ネットの活動を思い出し、連絡を取った。「捨てるのは簡単だけど、失われると取り戻せない。日記も後世のためになる」。資料は防かび処理を施され、簡単な目録を作った上で、事務局のある岡山大で当面保管する。
史料ネットは被害が大きかった倉敷市真備町地区で、水没した図書館や歴史民俗資料館に収蔵されていた資料などを回収。今後も被害が激しかった地域で、家屋に残された資料の保全を進める。
代表の今津勝紀岡山大教授(55)は「人間の生活は文化に支えられている。新しく町をつくるためにも、地域の過去の記録を伝える遺産は復興のよりどころになる」と話している。
[時事通信社]

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