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対米・イスラエルで二極化=中東各国の温度差鮮明―イランの攻勢必至

2018-05-14 14:45

【エルサレム時事】在イスラエル米大使館のエルサレム移転に際し、中東各国の対応で温度差が広がっている。トランプ米政権との関係を緊密化させるサウジアラビアやエジプトなどは過激な対米批判を抑制。一方、米国の核合意離脱に反発するイランや、クルド人勢力を支援する米国とぎくしゃくするトルコは非難を強める。米国やイスラエルをめぐって鮮明になる中東の「二極化」は、長引く対立と不安定化を一段と助長しかねない。
中東のイスラム諸国は、イスラエルと敵対するパレスチナ擁護が基本姿勢だ。4月のアラブ連盟首脳会議も、パレスチナ問題で必要な支援を表明し、サルマン・サウジ国王は「エルサレム・サミットと称されるだろう」と連帯を強調した。
しかし、サウジの実力者ムハンマド皇太子は4月、米誌アトランティックに「パレスチナ人もイスラエル人も平和な国に住む権利がある」と発言。「われわれはイスラエルと多くの利益を共有している」と言い切った。皇太子にとっては、中東の覇権を争うイランの封じ込めが最優先。イラン敵視で通じるイスラエルと共闘できれば望ましいというのが本音だ。
その半面、パレスチナ問題には冷淡とされ、アッバス・パレスチナ自治政府議長に対し、パレスチナの悲願に反する「東エルサレムを首都とせず、主権も制限された国家樹立」を受け入れるよう迫ったと伝えられる。
中東和平に深く関与してきたエジプトも、シナイ半島のイスラム過激派掃討でイスラエルの支援を得ているとうわさが絶えない。カイロアメリカン大のノハ・バクル教授は「サウジやエジプトは米国から多大な軍事支援を受けている。パレスチナ問題解決を焦らせるような立場を打ち出したくないはずだ」と指摘する。
これに対し、イスラエルと軍事的緊張が高まるイランが攻勢に出るのは必至だ。米国の核合意離脱表明や、イスラエルによるシリア領内のイラン軍事拠点空爆を受け、イランでは対外強硬論が勢いを増している。
イランが大使館移転に伴うパレスチナでの騒乱激化に乗じる可能性もある。支援するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラにイスラエル攻撃を仕掛けさせると警戒する臆測も浮上している。
[時事通信社]

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