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米、強硬路線に拍車=選挙にらみ、なりふり構わず―G7サミット

2018-06-10 14:43

【シャルルボワ時事】カナダで9日閉幕した先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)は、トランプ米政権発の「貿易戦争」回避に向けた方策を打ち出せなかった。トランプ大統領は「1対6」の構図で孤立することをいとわず、米国第一の通商政策を貫くと宣言した。11月の中間選挙に向け、なりふり構わぬ強硬策に傾いていくのは確実だ。
トランプ氏は9日、サミットに合わせて記者会見し、「世界各国に対する膨大な米貿易赤字を放置する理由はない」と、外国産品に対する輸入関税引き上げを維持する考えを示した。これに対し、欧州連合(EU)やカナダは報復措置発動の姿勢を崩さない。輸入制限と報復がエスカレートする貿易戦争の火種はなおくすぶる。
鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置をちらつかせて、相手国から通商交渉で有利な条件を引き出そうとする戦略にも限界が見えつつある。カナダ、メキシコと進める北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉は、目標とした5月半ばの合意に失敗。EUは、米政権が要求する自動車関税引き下げに後ろ向きだ。中国との貿易協議でも、巨額の米貿易赤字削減に向けた数値目標の導入で隔たりが残る。
米通商外交筋は「中間選挙までは対外圧力を一層厳しくしていくだろう」と語った。与党・共和党の支持基盤である中西部の製造業などが強硬策を求めているからだ。米政権は5月下旬、輸入制限の対象に自動車と同部品を加える検討に入った。車産業を主力とする日本やドイツは反発するが、同外交筋は「トランプ氏は本気だ」と分析する。
米国とG7同盟国との溝が深まれば、米国が不公正な貿易慣行の是正を強く求める中国との対立でも不利に働く可能性がある。中国の過剰生産問題や強制的な技術移転への対応で日米欧の結束が揺らげば、解決も遠のきかねない。安倍晋三首相らはG7討議などで、トランプ氏に対し、先進国間の貿易摩擦は「国際ルール違反を犯す国を利する」と繰り返し警告した。
[時事通信社]

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