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G7、貿易で対立隠せず=世界経済のリスク置き去り

2018-06-10 12:02

【シャルルボワ時事】9日(日本時間10日)閉幕した先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)は首脳宣言で、ルールに基づく貿易の重要性を強調し、反保護主義の姿勢を再確認した。だが足並みの乱れは隠せず、新興国通貨の急落といった世界経済のリスクへの対処に不安を残した。
「膝詰めで本音をぶつけ合った。相当激しいやりとりがあった」―。閉幕後に記者会見した安倍晋三首相は貿易問題で米国と他の6カ国(G6)が激論を交わしたことを隠そうとはしなかった。
米国は安全保障への脅威を理由に、日本、カナダ、欧州連合(EU)などの鉄鋼・アルミニウムに最大25%の追加関税を適用。EUとカナダは制裁関税の発動を決めた。米国と中国の間の貿易摩擦も深刻だ。トランプ大統領は自動車の輸入制限すらちらつかせる。
サミットでG6は、こうした一方的な米国の姿勢を撤回させることはできなかった。議長国カナダのトルドー首相は「不公平で、受け入れることはできない」と主張。マクロン仏大統領も「(サミットが)全ての問題を解決したことにはならない」と述べ、米EU間で創設される貿易対話に問題が先送りされたとの認識を示した。
米国の矛先は日本にも向かう。7月に開始する新しい貿易協議で高い要求が突きつけられる可能性が高い。米国が日本車の輸入制限を発動すれば、「鉄鋼・アルミの比ではなく、相当深刻な事態になる」(外務省幹部)のは確実だ。
G7首脳は2日間の議論の大半を貿易に費やした。首脳宣言は、世界経済のリスク要因になりかねない一部新興国通貨の急落について、「潜在的な脆弱(ぜいじゃく)性」と指摘しただけにとどまった。
為替の急変動を回避するとした過去のG7合意を再確認したものの、足並みの乱れを投機筋に見透かされれば市場の混乱は必至。世界経済だけでなく、急激な円高・株安という形で日本経済を直撃する恐れがある。
[時事通信社]

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